today 日本語版 2019/1
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除雪量を増やし、除雪速度を高めるために、 ベース車両の駆動力と油圧システムを強化しました。
約3000キロにおよぶ鉄道網を有するクロアチアでは、ヨーロッパ有数の山脈ディナル・アルプスを鉄道が走るなど、インフラが非常によく整備されています。アドリア海と山岳地帯の両方の気候条件が影響し、冬になると線路には水気の多い、重い雪が大量に積もります。
線路の除雪作業を効率的に行うために、クロアチア国鉄HŽ PUTNIČKI PRIJEVOZは高性能機械を導入し、保有する除雪車のラインナップの強化を図りました。この機械を用いて除雪作業を行うのは、 HŽ INFRASTRUKTURA社（鉄道インフラの管理・保守・建設を担うHŽインフラ運営会社）です。
ディナル・アルプスは、アドリア海沿岸を600キロ以上にわたって走る山脈で、イタリア北東部からスロベニアに広がるユリスケ・アルプスに始まり、クロアチア北西部を経てアルバニア北部まで、南へと伸びています。渓谷や川底の深い峡谷、そして鉄道と垂直に交わる山脈は、交通上の大きな障壁です。
山間部では、標高1000m以上の峠やカルスト台地を越えなければなりません。主に冬季の降水量が多いため、雪は非常に深く、春の終わり頃まで積もったままです。そうしたことからも、長い冬の期間にはダイヤの乱れが続いたり、運転が見合わせになったりすることもあります。
* 出典：ウィキペディア（Dinarisches Gebirge）
除雪作業のためのベース車両に選ばれたのは、当社の新しい軌道モータカー「OBW 100」2台です。このパフォーマンスの高いモータカーに、高性能スノーブロワ、スノープラウ、フランジャーなど、各種機材を装備しました。除雪能力に優れ、除雪スピードも速いこの機械があれば、迅速かつ効率的に線路を開通させることができます。
油圧駆動式スノーブロワの前頭部には、互いに反対方向に動く羽根車2機が装備されています。また、前頭部のかき寄せ翼を広げると、除雪幅を3000mmから6000mmにまで拡幅できます。羽根車室にはそれぞれ投雪筒があり、ここから雪が最大40mまで飛ばされます。毎時3500トンの除雪性能を持つOBW 100.256 Sは、悪条件下でも一度の作業で除雪できるため、常に列車の運行を確保することができます。一方、雪の量が少ない場合には、モータカー後部のスノープラウがその威力を発揮します。バリアブルプラウ（進行角可変プラウ）は2枚のブレードを備えているため、Vプラウとして左右両側に除雪したり、またワンウェイプラウとして片側に除雪したりすることができます。
除雪装置は、軌間内の雪を効率的に排除するためのフランジャーも備えています。機械車両を方向転換させるための回転装置は車体中央、2台のボギー台車の間にあります。工事や作業の終了後は、これを用いて車両を軌道から持ち上げます。回転動力となるのは、歯車機構を使った油圧システムです。
ベース車両自体に関しては、除雪量を増やし、除雪速度を高めるために、駆動力と油圧システムが強化されました。作業走行や運搬走行の際の油圧駆動は、両方の台車の全ての車軸で行われます。運転室の断熱構造や暖房装置、また作業ユニットとエンジンは、いずれも冬の厳しい気象条件（氷点下30°C）に対応できるよう設計されています。
この2台の新しい除雪用車両は、クロアチア中部のオグリンに配備されています。オグリンは、北東部（ザグレブ方面）へ伸びる路線と、南部に向かって山間部を走る路線、西部（リエカ方面）に向かう路線を結ぶ主要中継点です。
クロアチアでは、人や貨物の輸送手段として利用できる汎用性の高い軌道モータカー「OBW 10 Sprinter」が、2018年春に導入されました。輸送と同時にさまざまな保守作業をサポートするという、重要な役目を果たす機械です。
機械は当社のOBW 10シリーズをベースに設計されたもので、現行の欧州基準と排出ガス規制に適合しています。最大10名（運転席2席を含む）を乗せることができ、貨物輸送用に床面積約12m²の荷台が装備されています。また、油圧式クレーンには各種グラブバケットを取り付けることができます。
