today 日本語版 2019/1

正確さと精密さの代名詞「日本」

数時間でレール交換を行い、マクラギも瞬く間に交換―日本の新幹線は運転間隔が短く、保線作業のための線路閉鎖もありません。それだけに、作業員、保線機械とそのメーカーへの要求水準は高いといえます。

計画通りのスピードと完璧さ

日本は鉄道の速さと正確さについては優等生です。列車がこれほど速く、時間通りに走る鉄道システムは、世界のどこにもありません。例えば東北新幹線は毎日6時から24時まで運行し、平均27万人が利用しています。運行における時間の正確さと信頼性は、インフラの保守作業でも重視されます。鉄道の保線作業は、0時から5時の間でスケジュールが組まれます。保線機械が現場に到着するまで時間を要する場合があるため、150分という限られた時間の中で効果的にレール交換を行う必要があります。

始発の列車が走り出す前に、放置されている工具など余計なものがないか、点検車両が全線を確認します。新幹線に徐行区間や速度規制はありません。保守作業、レール交換、マクラギ交換など、全てにおいて計画通りの正確さが求められます。

レール交換システムREXS

よりよい計画づくりと優れた技術の実現が求められる中、プラッサー&トイラー社は現地パートナーの日本プラッサーとROBEL社(本社 ドイツ・フライラッシング)と共同で、2年にわたって開発・製造にあたり、2016年末にレール交換システム「REXS 1200」を納入しました。レールの運搬・積みおろし・交換・溶接を1つのシステムで施工できるのは、今のところこのシステムだけです。レール交換は短時間で完全に行うことはできないため、まずは150mレールを事前に取りおろします。その後、可搬式フラッシュバット溶接機「APT150RA」で最長1200mレール2本分の溶接を行います。新旧レールの交換作業は、REXSの新旧レール交換装置2台を使って30分以内に終えます。レール端部に緊張力を与えて締結する作業も、やはりAPT 1500 RAを使って行われ、夜間の線路閉鎖の間に全工程が終了します。

1982年6月のJR東日本の東北新幹線開通以来、現在初めてレール交換が行われています。作業は2017年2月に始まり、2026年までかかる見通しです。REXSを使用することで、一晩に交換するレールの長さが4倍になり、1回の溶接時間が40分から約6分に短縮されました。

REXSは1435mmの標準軌用の連結機械で、モータカー、20m~150mレールの運搬用に改造されたレール運搬・積みおろし車(ROBEL SILAD)、2台のシュートワゴンと新旧レール交換装置、軽量構造の溶接機 APT 1500 RAで構成されています。作業現場まで、全ての機械が同時に移動します。REXSの大きさは、構造上の限度を超えないように設計されています。全長は保守基地に合わせて230m以内に収まっています。軸重は15トン以下、台車中心ピン間は最大14.4mです。

狭軌にも対応

2015年、プラッサー&トイラー社はオーストリアの狭軌道(1067mm)向けに開発されたAPT 1500 RAをJR九州にも納入しました。当時はJR東日本の新幹線のような過酷な時間制限はありませんでしたが、技術面での条件は似ていました。電動フラッシュバット溶接技術は、日本ではまだ用いられていなかったため、機械の導入前はあらゆる品質証明の提示が必要でした。日本でも昔からフラッシュバット溶接に似た方法で溶接が行われていますが、これまではガスバーナーが使用されていました。そのため、レールへの熱影響はかなり広範囲に及んでいました。フラッシュバット溶接機が品質を維持できることを証明するために、日本から取り寄せたレールを使った溶接技術の予備試験がオーストリアで行われました。その結果は、日本鉄道総合技術研究所(RTRI)が確認しました。また、レール交換に不可欠な3次溶接に関する技術の証明も必要でした。そのために、当社の工場内に専用の試験装置が設置されました。

マクラギだけを交換

現在、JR東日本ではレールが交換され、JR西日本ではマクラギが交換されています。その作業をサポートする機械として、当社は2015年に特殊ユニットをJR西日本に納入しました。マクラギ交換システム「SES 170」です。継続的に作動するSES 170なら、レールを広げたり切断したりする必要がなく、20秒毎に新旧のマクラギを交換できます。まず、レールに固定されている部分を外すなどの準備の後、バラストを除去します。それから旧レール下のマクラギを方向転換させながら取り出します。

そして新しいマクラギの設置の前に、道床をならします。しかし、日本のマクラギはヨーロッパのものよりも大きい上に重く、設置間隔も狭いという問題があります。さらに、種類もケーブルの有無で2種類あります。SES 170のマクラギシャトルは新マクラギを搬送し、旧マクラギを回収する役目を果たします。そのため、機械にはマクラギテーブルが3台備えられています。SESは一旦吸引したバラストを再散布し、マルタイとバラストレギュレーターで作業を仕上げます。


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