当社では、軌道の仮想空間の双子ともいうべきデジタルツインについて集中的に取り組んでいます。保守機械とインフラの連携の新しい道を切り開きます。
これからの時代、構造に関するデータや検測結果、データモデル、時間・費用データなどを組み合わせた、線路に関する多次元アプローチに焦点が当てられるようになります。ここでは、目的ごとに分かれたモデル(Divided Concept)から、統合された包括的なモデル(Integrated Concept)までの道のりをご紹介します。各保線機械の情報が盛り込まれたインフラデータのネットワーキング化により、軌道のメンテナンス作業にも付加価値がもたらされます。
現実の軌道に関連した全ての要素が仮想空間(デジタルツイン)で再現されます。それは、一貫性のあるデータバンクに基づいた軌道モデルで、豊富な情報とそれぞれの相互依存関係が盛り込まれています。デジタルツインは、BIMに対応したプラン作りのために質の高いデータベースを作成するため、それぞれ異なる専門的な視点からも一貫したアプローチを可能にします。
鉄道建設における
BIM (Building Information Modeling)
デジタルトランスフォーメーションが進み、BIMとともに建設業界でもますます注目される今日、建築物の設計・建設・運営は大きく変化しています。BIMは設計上の論理やデザインの質のほか、運営面での効率をも向上させます。このようなBIM活用方法は、線路のような線状構造物にもますます取り入れられています。それに対応するスペックは、現在作成中です。
未来をつかさどる統合オンライン鉄道管理システム
これからの時代、データ運用はインフラの資産管理とライフサイクルマネジメント全体の持続可能な最適化に一層役立つようになります。持続可能なインフラ管理計画は、正確で完全な情報の上に構築されます。データと情報は、インフラ構築プロセスと全体組織の改善に大きく影響します。
今後の課題は、「鉄道インフラのためのBLM(Building Life-Cycle-Management/ライフサイクル管理の手法)」 を取り入れながらネットモデリングを進めることです。これにより、鉄道の設計・建設・運営の全ての分野における共同作業が強化されます。ライフサイクル全体にわたって生成された全てのデータを追加することで、統合オンライン鉄道管理システムは、持続可能なインフラ管理に大きく貢献します。
プラッサー&トイラー社でデータ管理のツールを開発
軌道設備データの収集とネットモデルへの埋め込みを自動で行う設備検知システムの需要は、近い将来に増加します。当社のデジタルツインのモデルと、当社により開発されたデータモデルの自動記録・作成ツールは、そのための重要な第一歩といえます。このツールにより、実際の軌道の包括的な検測が実現されます。構造物の認識のためには、今や人工知能の使用が不可欠となりました。
クラウドアプリケーションにも最適
デジタルツインは、BIMのように一般的にはクラウドコンピューティングのためのソフトウェアとして扱われます。クラウドの使用によってのみ、全てのプロジェクト関係者が必要な最新データを呼び出すことができ、モデルを使って変更をリアルタイムで追跡・実行できます。その際、共通したデータ交換方法や互換性のあるソフトの活用、つまりオープンなインフラ管理プラットフォームがますます重要となります。
「Building Information Modeling(BIM)」は、建築物の設計・建設・運営をめぐる複雑な要素を簡素化し、ミスが起きる確率を減らし、コストを透明化し、工程の速度を上げ、プロジェクト関係者全員の協力体制を強化します。BIMは単なる仮想建築モデルやCADのようなソフトではありません。設計・建設・運営の各プロセスの進行を管理する作業テクニックです。多次元のBIMモデルはこうして「Building Lifecycle Management(BLM)」となり、各側面を組み合わせて実現されます。
PlasserSmartMaintenanceイニシアチブ
デジタルツインの準備が整い、適切なデータを備えた状態となれば、あとは保線機械と連携させればよいだけです。当社の「PlasserSmartMaintenance」イニシアチブで開発されたアプリはますます増えています。メインプラットフォームは、ネットワークで結ばれたクラウドソリューションとウェブサービスの両方が使えるアプリです。個々の機械や車両、インフラに関する重要なデータへの簡単なアクセスが特徴です。
このようにして機械は次第に知能を備え、「スマートマシン」となります。当社では品質と信頼性の向上のため、またさらなる自動化と高い透明性を望むお客様の声に応えるため、デジタル化の可能性を模索しています。
デジタルツインは、保守機械とインフラの連携作業の道を新しく開拓します。行われた作業の質については、発注者が直接確認できます。また、危険地帯での人員を減らし、管理を安全なオフィス内へ移すことができます。インテリジェントな評価方法と連携して傾向を観察することで、鉄道事業での予知保全対策についての分析や提案を可能にします。