チェコの鉄道施設管理公団SZは、全幹線と地方路線の大部分を含む約9500キロに及ぶ軌道を運営しています。必要とされるさまざまな測定作業は、2台の異なる検測車で行っています。
検測車「EM200」は高速列車に混じって走行することができます。その場合、測定は通常のダイヤに合わせて行われます。測定走行では、当社の定評ある非接触式軌道線形検測システムが実際の条件下で軌道形状を記録します。
自走式の検測車「EM100」は、幹線を除くチェコ国内の全路線で使用されています。柔軟性に富み、自立して測定走行を行うことのできる機械です。これら2種類の検測車を組み合わせることで、本線と支線から成る路線網全体の状態を均一に、また的を絞って可視化することができます。そのため、長期的な分析と効率的な作業計画の策定が可能となります。検測車に搭乗する検測員は、測定走行中にリアルタイムでデータを評価することができます。
検測車が両方とも同じ測定システムをベースにしている点は、非常に大きなメリットです。取得したデータは評価のために統合することができます。それ以外にも、1台が走行できない場合のダウンタイムへの対応ができること、また取扱いやメンテナンス方法が同じことも、鉄道事業者にとって非常に重要です。
EM100は当社の新しい検測車シリーズをベースにしており、チェコ鉄道向けの特殊な測定‧評価技術を備えています。プラッサー&トイラー社が誇る確かな品質で、鉄道輸送に求められる安全性を体現する機械です。しかもETCS(欧州列車制御システム)規格の列車制御システムを装備しています。
EM100の運転室は斬新なデザインで、内装も新しさを感じさせます。数々の測定機器や作業場のための十分なスペースも確保されています。運転室のほかに複数の測定用作業台、ミニキッチン、収納スペースがあります。断熱‧防音対策の施されたエンジンルームは、室内とは完全に分離されています。
また、最高時速100キロで測定走行ができるなど、この検測車は当社の定評あるシステムの長所を全て備えています。
軌道線形を記録するための慣性軌道線形測定システム(EN 13848対応)は、GPSナビゲーションシステムと光学式軌間測定システム(GMS)を搭載しており、これにレーザーとカメラを備えたレール断面測定システムを組み合わせています。レール断面測定システムは、レール断面形状、レール高さ、レール頭幅、左右レールの傾き、ゲージコーナーにおけるフロー、軌間(最小軌間を含む)を測定します。そして、左右レールに関する以下のパラメーターについて、得られた測定値と所定の目標値とをリアルタイムで比較します。まず、レールの高さと幅の摩耗、そしてレール頭部断面形状の変形、レール重量(レール種別)です。
EM200は一連の測定機器を搭載しています。当社はチェコ‧プラハに本社を置くNDCon LOGIC社と連携し、指定された標準仕様の旅客車に測定システム一式と台車の測定枠、電子機器を組み込みました。そのためには、台車と車両の設計を一部変更する必要がありました。EM200は最高時速200キロで測定を実施(被牽引時)することができます。
検測車には、以下のパラメーターを測定するシステムが装備されています。
これら2台の検測車は、2021年の夏の終わりに運用を開始することができました。その数か月前には、いずれも3段階から成る走行試験に合格していました。当時、いくつもの走行テストがチェコのヴェリム鉄道試験線で行われました。
チェコ鉄道は、運営する路線網の異なるパラメーターを測定·監視し、適切な路線管理を行うために、これら2台の検測車を選びました。まさに最強のコンビです。