today 日本語版 138

コーラルム線の建設現場から

オーストリア最大級の鉄道建設プロジェクトの架線工事で、架線作業車「MTW 100」がその力量を発揮しています。

 新しいコーラルムトンネルへのアクセス線となるグラーツ~ドイチュランズベルク間の架線工事を請け負ったロンベルク社(Rhomberg Fahrleitungsbau GmbH)は、同工事でおよそ半年にわたってMTW 100を用いた作業を行い、トンネル内、駅、線路上でのさまざまな架線設備を設置しました。多機能型作業機械であるMTWであれば、どのような状況でも作業をしやすく、また安全性も確保されます。

エルゴノミクスに配慮した作業環境

 ロンベルク社はMTW 100のほかに、MTW 10も所有しています。MTW 100は、2019年1月にシリーズに加わった新型です。エルゴノミクスと使いやすさに配慮した運転台に加え、新しい設計の作業場や休憩室もまた作業員に好評です。室内を無駄なく仕切り、どのような作業も楽にこなすことのできる広いスペースが確保されている点が特に評価されています。もちろん、リモコンでの操作、広い昇降作業台、まぶしさを感じない照明装置など、快適さを追求した装備も使いやすさを生んでいます。このように、必要なツールが全てそろった環境の中、作業員は軌道上で質の高い作業を行うことができます。

マルチツールを搭載した作業車

 MTWシリーズは汎用性を重視した設計で、以前から定評があります。新しいMTW 100の開発では、過去のシリーズでの数十年にわたる実績が活かされています。当社のエンジニアたちは、使いやすさとメンテナンスのしやすさをさらに高めるよう努めました。その結果、細部までこだわった、カスタマイズ可能な汎用型作業機械を作りました。鉄道事業者にもオペレーターにも好評の機械です。

ヨーロッパ最大級の壮大な鉄道建設プロジェクト

グラーツとクラーゲンフルトを結ぶ130キロのコーラルム線は、2025年に開通する予定です。これはウィーンからフィラッハまでの新しい南部区間の一部で、欧州横断運輸ネットワーク内のバルト海~アドリア海回廊の機能強化を図るものです。欧州連合(EU)から資金援助を受けているのはそのためです。

この高速鉄道建設は、47キロに及ぶトンネルと100を超える橋りょうの建設を含み、しばしば世紀のプロジェクトと称されます。路線の一部はすでに列車の運行が開始しており、残りの部分は急ピッチで工事が進められています。現在、グラーツ空港に接続するグラーツ~ヴァイテンドルフ間の一部で、最後の大がかりな工事が進行中です。

この路線の要は、標高2000mのコーラルペ山脈を横断するコーラルムトンネルです。建設計画のスタートから23年後の2020年6月、トンネルは最後の岩盤を破り、貫通しました。単線断面のシールドトンネル2本はそれぞれ約33キロの長さで、完成すればコーラルムトンネルは世界で7番目に長いトンネルとなります。

コーラルム線は、所要時間の大幅な短縮をもたらすほか、環境への負荷も長期的に低減されます。例えばグラーツからクラーゲンフルトまでの所要時間は、現在に比べて約4分の1に短縮されます(「より速く目的地へ」の欄を参照)。未来志向の旅客‧貨物輸送のための土台となり、鉄道は他の交通手段よりも一層魅力的となります。

最新の鉄道技術により、時速250キロのスピードで効率的かつ安全な運行が確保されるということです。例えば、スラブ軌道やトンネル内の剛体架線、欧州列車制御システムETCSレベル2のコーラルム線全区間への導入などです。品質要求が高いことから、工事現場ではプラッサー&トイラー社の機械がよく使用されています。

より速く目的地へ

コーラルム線を利用した場合と、これまでのサンクトファイト‧アン‧デア‧グランを経由した場合、自動車を利用した場合の最短所要時間の比較


* センメリングベーストンネルが開通(2028年の予定)すると、これよりも短縮され、2時間以内となる。


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