today 日本語版 138

09-16 Dynamic スタビライザーユニット搭載でさらに経済的

JR西日本は、軸重制限が低い路線でも高い機能性を発揮する、新しい機械コンセプトを取り入れたマルタイ「09-16 Dynamic」を使用しています。日本向けマルタイに初めてスタビライザーユニットを搭載した機械です。

夏期のタンピング作業制限の撤廃

 日本の在来線の軌道では、これまで1年のうち8か月しかマルタイを使った作業を行うことができませんでした。夏期の4か月間は、タンピング作業後に軌道座屈が生じるリスクが高かったためです。

 しかし、ダイナミックスタビライザー(DTS)を用いれば、マルタイでの保守作業の後に必要な道床横抵抗力を確保することができます。新たに設計された09-16 Dynamicはそのスタビライザーユニットを搭載しており、道床横抵抗力を生じさせることができるため、軌道座屈のリスクが低減します。これにより、夏期の作業制限を緩める、あるいは撤廃してしまうことすらでき、機械の経済性と生産性が著しく向上します。

 JR西日本の軌道の軸重制限は15トンと非常に低いため、新しい機械の設計は困難を極めました。ヨーロッパの場合、同様の機械についての軸重が20トンまたは22.5トンということを考えると、どれほど難しいかがわかります。また、軌間が狭いことや、機械の全長を日本の狭い車庫に合わせてできるだけ短くしなければならないなどの制約もありました。

 こうした厳しい条件のもと、09-16 Dynamicの全長は35m以内に収まり、スタビライザーユニットを搭載した高性能のマルタイが生まれました。しかもコンパクター、スイーパーユニット、ファインスイーパー、レール締結装置用ブラシ、コントロール測定システムと補助発電機も装備しています。

「夏期の保守作業制限の撤廃は、私たちにとって大きな意味があります。DTSの導入は、保守計画に革命的な変化をもたらしました。今や作業の面でも保守の面でも、機械の運用計画を立てやすくなりました。

JR西日本
長谷川芳男氏

ライフサイクルコストの低減

 09-16 Dynamicの開発では、お客様のいろいろなニーズを考慮しました。例えばメンテナンス作業の簡素化です。これは、ライフサイクルコストの面で必ず重要な要素となります。

 株式会社レールテックの熟練技術者の一人である安田健太氏は、当初から開発プロジェクトのコンサルタントを務めていました。何人かの機械オペレーターの方々との話し合いを通じて、日常の保守作業における諸要件を考慮した、実用的なソリューションを打ち出しました。そしてプラッサー&トイラー社との緊密な協力のもと、約2年の準備期間を経て、オペレーターの皆さんの要望を7割以上実現することができました。そのうちの3つの例を以下にご紹介します。

1. タンピングユニット点検時の新しいアプローチ

 タンピングユニットはマルタイの心臓部であると同時に、最も負荷のかかるコンポーネントです。そのため、定期点検作業では最新の注意を払う必要があります。その際、各点検項目をさまざまな角度からチェックすることが重要ですが、以前はサテライトのロック機構が後部にあったため、前方からしか確認することができませんでした。

 09-16 Dynamicでは、安全に点検できる新しいアプローチが確保されました。サテライトのロック機構を前部に追加し、前方からも後方からも安全に近づくことができるようになりました。

「日本向けの機械は、特殊かつ広範な枠組み条件を満たす必要があるため、必ず難しい課題に直面します。09-16 Dynamicの製作では、私たちは初めてスタビライザーユニットとコントロール測定システム、スイーパーユニットを搭載した多機能型マルタイを実現し、日本特有の諸条件をかなえることができました。日本での稼働開始以降、たくさんの高い評価をいただき、感謝しています」

プラッサー&トイラー社
ヨーゼフ・ホーフシュテッター氏

2. 作業場の確保

 これまで、メンテナンス作業は屋外で行われるのが普通でした。作業条件が悪い場合には、整備工場へ戻らなければならないということもしばしばでした。09-16 Dynamicには、機械前部に作業場が設けられており、十分なスペースと必要な工具がそろっています。これでメンテナンス作業やシリンダー交換などの簡単な修理は、機械上でその場で行うことができます。

3. 作業区間の粉じん削減

 タンピングユニットの前部には、計8個の特殊な散水ノズルが付いています。これは所定の位置に水を噴射するためのもので、タンピング作業中の粉じんの発散を大幅に抑えることができます。作業環境が向上するだけでなく、清浄の手間も省くことができます。

「プラッサー&トイラー社とユーザーとの活発な意見交換により、特にメンテナンスのしやすさという面で非常に高い満足度が得られました。機械オペレーターたちは、今や09-16 Dynamicを家族の一員と考えています」

株式会社レールテック 軌道事業部
安田健太氏


Consent for the today app
Information on the processing of your personal data