today 日本語版 136

鉄道の拡張でトランジット貨物の増加、雇用の拡大へ

海岸を持たない内陸国であるオーストリアにとって、最も重要な海上物流拠点はアドリア海にあります。海を越えた商品の移動では、オーストリアへの入荷・出荷はスロベニアのコペル港を介して行われます。この港は、イタリア・トリエステのすぐ隣、アドリア海の北東岸に位置します。

互いに近い距離にあり、激動のヨーロッパ史において同一の国を形成した時代もあったことから、コペルとオーストリアの間には深い関係があります。1815年以降、コペル(イタリア語名:カポディストリア)はオーストリア帝国領に属していました。

 ウィーンやザルツブルク、シュタイアーマルク州とコペル周辺の地中海地域とを結ぶ鉄道は比較的短く、直通の路線が開通したのは1967年になってからのことでした。今ではコペル港からグラーツまで毎週10本程度、リンツまでは4本、オーストリア国内のその他の貨物駅までは平均2本の列車が運行しています。2020年初頭には、コペル~エンス間とコペル~ザルツブルク間の路線が開通しました。コペル~オーストリア間の貨物輸送における鉄道のシェアは75%にも達し、コンテナ輸送はここ10年で6倍に増加しました。

コンテナ輸送と自動車輸送のための新しい線路

コペル港はヨーロッパを横断する鉄道輸送ネットワークTEN-T(Trans-European Transport Network)の拠点のひとつで、2本の重要なルートが交差しています。シフィノウイシチェ/グディニャ~ウィーン~グラーツ~コペル/ラヴェンナを結ぶ「バルト~アドリア回廊」と、セヴィリア~バルセロナ~トリノ~ブダペストを結ぶ「地中海回廊」です。コペル港とその港湾ターミナルには、通常1週間に80~90本、1日平均12~13本の貨物列車が到着します。出発する列車の本数も、コンテナ輸送と車両輸送専用貨物列車だけでも同じほどたくさんです。コンテナ貨物と車両は、コペルでのトランジット貨物取扱量の約半分を占めています。

 2019年には、コンテナ取扱個数はほぼ100万TEU(※)の大台に乗り、車両台数は70万台を超えました。コペル港を管理運営するルカコペル社(Luka Koper d.d.)は、特にこれらの主要貨物輸送に多額を投資し、港湾内の鉄道網を拡張しました。2020年末には現行の工事が完了する予定で、貨物取扱量のさらなる増加に対応できる見込みです。そして今後5年間に、これまでボトルネックとなっていた後背地を結ぶディヴァーチャ行きの路線で2本目の軌道が敷設される予定です。

港湾内の大規模な鉄道建設

 港湾内の拡張された線路はすでに開通しています。2020年初頭には、増設された車両積込み・RORO船(貨物専用フェリー)ターミナル構内にできた全長3.4キロの線路も利用できるようになりました。並行する4本の新しい軌道を持つこのターミナルでは、最大全長700mの列車に貨物を積み入れ・積み降ろしすることができます。これで入れ替え作業が軽減され、輸送距離も短くなりました。港湾内の路線網はこれを含めて全長約35キロとなり、分岐器は約125基を数えます。港湾のインフラサービスを提供するルカコペルINPO社(Luka Koper INPO d.o.o.)は、すでに2014年から軌道の保守作業と部分メンテナンスのためにマルタイ「Unimat Junior 08-8」を所有しており、独自に運用しています。これはスプリットヘッド型タンピングユニットと8本のタンピングツールを装備した2軸の機械で、産業用鉄道と小規模な幹線鉄道網には最適です。Unimat Juniorは、最大60‰の急勾配と曲線半径100mまでの区間での作業に役立ちます。

※20フィートコンテナ換算個数(TEU)
サイズの異なるISOコンテナの個数を数えるための国際基準。

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